「あれ?おかしいな…。こんなところで、赤ん坊の泣き声が聞こえるとは…?」ペドロは、何世紀もの時間を生きてきた大木たちが鬱蒼と茂る森の中で立ち止まった。
この日、森をはさんだ隣町に住む友人の祝い事に出席したペドロが帰路に着いたのは、夜もだいぶ更けてからじゃった。近道しようと森に入り、星一つない夜道を急ぎ足で歩いておった時、誰かの泣き声が聞こえたような気がした。近いようで遠い、遠いようで近い、救いの手を求める痛々しい赤ん坊の泣き声。
怪訝に思ったのもつかの間、その声に誘われて半ば夢遊病者のようにふらふらと森の中をさまよい始めたペドロは、やがて声の主を捜し当てた。それは籠の中で身じろぎしながら両手を天に差し伸べ、「抱いてくれ」と訴えておるようじゃった。
「おう、おう。かわいそうにな。こんな可愛い赤ん坊を危険な森の中に置き去りにするとは、ひどい親もいるもんだ」ペドロは思わず赤ん坊に近づき、抱き上げた。その時…!