私は時々、息子や我が愛妻から「ベッドタイム・ストーリー」をねだられることがある。
この間も息子から「パパ、何かお話しを聞かせて」とねだられ、困ってしまった。
「桃太郎」、「鶴の恩返し」、「ウサギとカメ」といった定番のおとぎ噺はすでにあらかた話して聞かせてしまい、話のネタが尽きてしまったからだ。
こうなったら自分でストーリーをでっち上げるしかない。
私「ええとだな、それは寒い寒い夜のことでした。ある町に一匹の野良犬がいました。」
息子「何犬?」
私「ええと、スピッツかな」
息子「ふーん」
私「お腹を空かせて寒さに凍えていたその犬は、食べ物と寒さをしのげる場所を求めてうろうろしていました。
3時間ぐらいうろうろした挙句、ようやく一軒の空き家を見つけました。ラッキーなことにドアに鍵はかかっていませんでした。犬は中に入り、冷蔵庫のなかの食べ物をたらふく食った後、ごろんと横になり、うとうとし始めました。すると...」
息子「すると?」
私「コンコンとドアをノックする者がいます。犬は『どなた?』とノックの主にたずねました。
『俺だ、隣町のブルドッグだよ。寒くて死にそうだ。中に入れておくれ』 犬はブルドッグを中に入れてやりました。犬はブルドッグに冷蔵庫の中身をご馳走してやり(この時点で、既にこの野良犬は空き家を自分の家と勘違いし始めたようである)、やがて二匹してうとうとし始めました。すると...
コンコンとドアをノックする者がいます。犬は『どなた?』とノックの主にたずねました。
『私だ、隣町のジャーマンシェパードだよ。寒くて死にそうだ。中に入れておくれ』 犬はシェパードを中に入れてやりました。犬はシェパードに冷蔵庫の中身をご馳走してやり、やがて三匹してうとうとし始めました。すると...
コンコンとドアをノックする者がいます。犬は『どなた?』とノックの主にたずねました。
『我輩だ、隣町のゴールデン・リトリーバーだよ。寒くて死にそうだ。中に入れておくれ』
犬はリトリーバーを中に入れてやり...」
息子「その話、いつになったら終わるの?」ちっ、まだ寝てなかったのか。
私「もうすぐだよ。ええと、どこまで話したかな、そうそう、犬はリトリーバーに冷蔵庫の中身を...」
といった調子で延々と話が続き、七匹までいった時点でふと息子を見ると、既に寝入っていた。
やれやれ、やっと寝てくれたか。実はこの話の結末をどうするか、まだ考え付いていなかったのであった。
百匹ぐらいになったら、家が崩壊して犬達が外におっぽり出され、最初の野良犬が寒い夜をさまよい歩く場面からまた話し始めることにしようかな...

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